放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め
寝技練習は開始されたが、さすがにいきなりチョリソーチェックは出来ない。

一応禁じ手だからね。


いつもと変わらず、2年生の先輩に押さえ込まれてる俺。

寝技で勝つために練習してるわけじゃないから押さえ込まれっぱなしでも仕方ない。
俺の寝技練習は、寝技に持ち込まれた時に逃れるためだからね。


2年の先輩達の強さは大会の一回戦レベルぐらいなんだと思う。

だから練習で苦戦するようでは、大会でも無理矢理寝技に持ち込まれて負ける可能性が高い。

レギュラーメンバーとして、この現状は結構厳しい。

先輩達もそれを知ってか、“そこで首を抜け”だ“今、身体をまわせ”だ熱心に指導してくれる。

けど全然上手く出来やしない。

“寝技の練習をしだして3、4ヵ月だからぁ”なんて、いつもなら自分を慰めるんだが今日はちょっと違う。

なんといっても、目的があるからね。

もう、どこであれをやってやろうかって感じだ。


やっぱり先輩も教えながらやってくれてるからね、逆にタイミングが難しい。

あれをやるなら、殺るか殺られるかの真剣勝負の時だろうし。
真剣勝負ゆえの隙ってのに付け込む技だからね、あれは。


何度目かの完敗の後、俺は2年の先輩に言う。

「あの…、次は…、手加減無しでお願いできますか…」
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