放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め
電脳の海を進む俺たち。
初めての航海だ、どうせあまり遠くまでは行けやしないが、それでも俺の心は弾んでいた。
やっと掴めるかもしれない。
誰にも解けなかったチョリソーの秘密が。

俺の胸の高鳴りをよそに、パソコンは独り言みたいにつぶやく。

「しかし…、ぼっちゃまもえげつないことを考えますな…」

陸の上なら、そんなつぶやきに答えなくたっていい。
しかし、今俺たちがいるのは海の上だ。
必要だろう。荒波を超えるには、信頼関係が必要だ。
俺もつぶやくようにパソコンに言った。

「…、ぼっちゃまではないだろ?俺はなんだ?ん?パソコン?」

パソコンにすればやはり独り言だったのだろう。
「すみません、ぼっちゃ…、いや、船長」
慌てて訂正する。

「うむ、よろしい。で、なにがえげつないって?」

威圧的にならないように努め、俺は尋ねた。

「いや、あっしもコンピューターとはいえね、まあ、いろいろな仕事をこなしてきました。中には大きな声で言えないようなこともやってきましたが、まさかこんな探しものは…、聞いたことなくて…」
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