オフサイド


電車は、ちょうど陸橋を渡り、東南学園の第2グラウンドに差し掛かるところだった。


……あぁ。だから、この前あんなこと言ってたのかぁ。 


ひと月前の、あの朝の出来事を思い出していた――。


まさか、榊くんがサッカーをやっていたなんて、夢にも思わなかった。 


おまけに、クラブユースに所属しているなんて、本格的なサッカーじゃん。 


確かに、榊くんは長身だし、手足も長いから運動のできそうな体型をしている。


ゆくゆくは、未来のJリーガーになるかもしれない。


裕也も日の丸を背負って、ワールドカップに出場することを夢見ているけど、


この先、二人が同じピッチの上に立つこともあるかもしれない。


思わぬ共通点に、ものすごく親近感が湧いてきた。



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