オフサイド
「うわぁ、久しぶり!二人とも元気だった?」
人混みを逆走するかのように立ち止まった私の横を、あからさまに嫌そうな顔をしながら乗客が通り過ぎていく。
壁に身を寄せながら二人に近付き、一緒に階段を下りながら会話を続けた。
「ちょっと、菜摘こそ、元気だった?全然、連絡ないから気になってたんだよ!」
「……ごめん。毎日疲れて、家帰ったらご飯食べてすぐに寝ちゃうんだよね。気付いたら、朝だった……みたいな。いつもそんな感じ!」
「菜摘らしいね。勉強はどう?やっぱり東高は大変?」
「うん。かなりキツいよ!英語は予習しておかないと全然分かんないし……」
「そっか。でも、そんな菜摘にいい知らせがあるよ!ね、真吾?」