オフサイド
「でも、まさか本当に違うんだろうな?」


「何が?」


「お前と菜摘ちゃんだよ!」


「当たり前だろ、バーカ!」


胸元に拳を入れる真似をした榊くんを避ける真吾くんは、ボクサーのように応戦しようとした。


ふざけ合っている二人を見ていると、なんだか可笑しくて笑みが零れた。



――と、


「ちょっと、もういいから!早く大事な話しようよ!」


由香里の声に遮られた真吾くんは、「あっ、そうだった」と、握った手を振りほどいた。




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