オフサイド


半年ぶりに裕也に会える。

ううん、正確には8ヶ月ぶりに会える――…。


そう思うだけで、胸に迫るものがあり、涙が零れ落ちそうになった。


皆に気付かれぬよう鼻を啜り、唇をキュッと噛み締めた。


「もうじき夏休みだろう?関東の強豪校との対外試合を予定してるらしいんだ。
もしかしたらクラブユースとの試合もあるかも…って言ってた。

でも、あんまり時間が取れないから、俺たちとはゆっくり会えないかもしれないけどな」


肩から斜めに白のアディダスのカバンを提げた榊くんは、思い出したように言葉を継いだ。


「……あっ!そういえば、練習予定表にあったよ。『東南学園その他との練習試合』って!きっと、そこに鹿見高も含まれるってことだな」


「多分な……」




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