オフサイド
そうなんだ……。


裕也が本当に帰ってくるんだ。嬉しい。 


でも…… 


どうして私には、そんな大切な連絡がないんだろう。 

こんなにも、裕也からの連絡を待ち侘びているというのに――…。


真吾くんと榊くんとの間で交わされる会話に、まるで自分だけが取り残されたようで寂しさが募った。


駅のアナウンスや騒がしい雑踏の声などが全く気にならないほど、意識は一点に集中していた。 



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――――――



「じゃ、俺帰るわ。お先にー」


片手を挙げ、改札を抜ける榊くんにハッとしながら、その背中を目で追った。




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