オフサイド
キッチンでは、中2の弟の大輝(だいき)が先に食事を済ませていた。 



「すげぇ、頭ボサボサ!これじゃ、彼氏もできねぇはすだ。寂しい女子高生だね」


「煩いな!私のことは放っておいて!」


大輝はもちろん、両親は、私に彼氏がいることなど何も知らない。


とやかく言われるのも、詮索されるのも嫌だから、みんなには内緒にしている。


ダイニングテーブルの椅子に腰を下ろし、目の前に並べられた料理を眺める。



ハンバーグにポテトサラダ、きんぴらごぼう……。



好物ばかりだけど、なんとなく今夜は箸が進まない。


ちらりと目をやると、大輝は冷蔵庫から牛乳を取り出し、コップに注ぎ、何杯も飲んでいる。




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