オフサイド
手にしていた洋服をベッドに置き、机の上の辞書に手を伸ばした。


「はい」と手渡すと、「サンキュー」と大輝は出ていこうとした。 


「…あっ!ちょっと待って!」


ドアに手を掛けた大輝を引き止めた。


「なに?」


「今から海に行くんだけどさ、どれがいいと思う?」


癪に触るけど、この際、仕方ない。大輝に助けを求めた。 


「はぁ?デートでも何でもないんだろう?そんなに気合い入れなくてもいいんじゃねぇの?」


「そうだけどさぁ。……いろいろと、ね」


「ふーん。あっ、そう。
じゃあ、こっち」



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