オフサイド
買い物カゴにトウモロコシを入れた榊くんは、チラッとこちらを見た。


「でも、今度は外に出るなり、『暑ーい』とか言うなよ!」


「――…ッ。何それ?それって、ただの我儘みたいじゃん!榊くんこそ、実は我慢してるんじゃないの?」

頬っぺたを膨らませて反撃した。


さっきのは撤回!


榊くんは優しくなんかない!

意外と、意地悪なんじゃない?


でも、知らぬ間に笑っていた。私も榊くんも。



あの日…… 


真吾くんとふざけ合っていたときと同じ笑顔だった。 



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