オフサイド
スーパーの南側の駐車場から見える広大な海。


吸い込まれそうな空の青さと海の蒼さに、思わず溜め息が洩れた。


昔からここから見える景色が好きだった――。


海を眺めているだけで、心が安らぐから。


時間の経つのも忘れてしまうから不思議だ。


「さっ、そろそろ行くか!」


「うん」



スーパーの目の前を走る幹線道路から海までの長い坂道を、二人で並んで歩いた。 


たいした会話もなかったけれど、居心地の悪さは感じなかった。


眼前に広がる海への期待感で、いっぱいだったからかもしれない。



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