オフサイド
だんだんと近付く私たちに、先に気付いたのは薫だった。 


「お帰りー!待ってたよ。みんなお腹空いて、『アワビ取ってやる』って、潜りに行っちゃった!」


「アワビ?取れるわけないじゃん、こんなところで!」


「ううん。取れるらしいよ!田口くんが言ってたもん」


「でも、あれ……遊んでるだけだよね?」


「うん。そうとも言えるかもね」


3人で笑いながら、買ってきた食材をカッティングし、準備を始めた。 



有美がクーラーボックスに飲み物を冷やしている間に、こっそり薫に尋ねた。 


「買い物、榊くんと一緒じゃなくてよかったの?」



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