オフサイド
「うん」


「でも、今日のバーベキューだって、榊くんがいるから参加したんでしょ?」


「うん……初めはね」


「初め!?」



躊躇いがちな薫が気になって、包丁を持つ手が止まる。 


かぼちゃを手にした有美は、そんな薫の言葉を継いだ。 


「初めは榊くん狙いだったけど、変わったんだよね、薫?」


私と有美の顔を交互に見つめ、コクンと頷いた。 


「えぇーー!?なんで?」


ひときわ大きな声で反応する私とは対照的に、珍しく小さな声で薫は答えた。 


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