オフサイド
「花火やろうぜ!」


「おぉ!いいね!」


「やろう、やろう!」


修くんの掛け声に賛同し、スーパーの袋から取り出した花火を囲み、みんなはそれを手にした。


暗闇の中で、シュワッと音を立て、たちまち赤や黄色の光を放ち始めた。


光の中に映るみんなの顔は、どれも優しくて楽しそうだった。 


いつの間にか、薫の隣には田口くんが……


有美の隣には修くんが寄り添っていた。


さっきまで、あれほど楽しかったのに、私だけ取り残されたような気分になった。


仲睦まじい二組を目にし、ここに裕也がいたら……と思うと、急に淋しさが込み上げてきた。


三本目の花火に火をつけているときだった。



< 146 / 362 >

この作品をシェア

pagetop