オフサイド
「つまらない?」


「……えっ?」


横に並んで、花火に火を点ける榊くんに驚き、手にしていた花火は真下を向いたまま消えていった。


「そんなことないよ!楽しんでるよ」


慌てて、そう答えた。


「そっか」


それ以上、彼は何も言わなかった。 


私の心の内を見透かしたのだろうか。 


そんな彼に聞いてみたくなった。――同じ男として、裕也の気持ちを。 




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