オフサイド
中学の頃からずっと好きだった人がいること。


今は、自分の夢を叶えるために遠く離れた場所にいること。


会えないだけでなく、連絡もないこと。


彼は、私のことをどう思っているんだろう――…。



一方的に話す私の話を、榊くんはずっと黙って聞いていた。


すべてを話し終えると、彼は顔を上げて言った。


「自分はどうしたいの?」

「どうしたい、って……。
もちろん好きだから別れたくないけど……相手の気持ちが分からないから不安なの」


「好きなら相手を信じることも大切なんじゃないの?連絡しないのも、それなりの理由があるんだろうし」

「理由?」


コクンと頷くと、榊くんは火の消えた蝋燭にライターで点火し始めた。



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