オフサイド
ドクン…ドクン…ドクン…
激しい胸の高鳴りと緊張とで、身体中の水分が失われていきそうだった。
「来てくれたの?」
――ゴクン。唾を飲み込む音が漏れた。
「……うん。ごめん、勝手に」
目を合わせられない。
俯いた私は小さな声で答えた。
「いや、嬉しかったよ。来てくれて」
「………」
驚いて、顔を上げた。
「来てくれてありがとう、菜摘」
裕也の温かい言葉がすぅっと胸に染み渡っていく。
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