オフサイド
「うぉー!やっぱり最高!!菜摘も早く来いよ!」


「う、うん」


裕也と同じように、足をかけようとするけど…… 


シュルルルル―…と、あともう少しのところで、滑り落ちてしまう。


「なんで……」


何度やっても、裕也のところまで届かなくて、泣きそうになる。


こんなに近くにいるのに、ものすごく遠くに感じる、二人を隔てるこの高さ。 

左右を見渡し、登りやすそうな窪みを探すけれど、やっぱり見つからなくて……。


「菜摘、大丈夫だからおいで!」


見上げると、身体を倒し、ギリギリのところまで右手を差し出す裕也がいた。


裕也……。


躊躇いながらその手を掴むと、歯を食い縛って、額に汗を浮かべた裕也に、グイッと力強く引き上げられた。






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