オフサイド
「髪、伸びたな」


「うん」


ゆっくりと、裕也の指先が髪を梳いていく。


……ドクン。


触れられた部分だけが、電流を浴びたように熱い。


以前、取り留めのない話をしていたとき、長い髪が好きだと言っていた裕也。


裕也好みの彼女になろうと伸ばし始めた髪の毛も、今では肩を越えるまでになった。


「菜摘、あそこ見てみろよ!」


顔を上げ、裕也の指差す方向に目を向けると――… 






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