オフサイド


「菜摘は可愛いからモテるだろう?だから心配なんだよ」


「えぇー、全然モテないよ、私」


「菜摘が自覚してないだけ!隙があれば、狙っている奴だってたくさんいるはずだよ。誰かに盗られりゃしないか、いつも心配しているよ」


「ウソ!」


「嘘で言えるかよ、こんなこと」


顔を逸らした裕也は、耳まで真っ赤にしていた。 


そんな姿を目の当たりにして、急に胸がドキドキして落ち着きを失った。


途端、無口になる二人。


大きな飛沫を上げ、岸壁に打ち付ける波の音だけが、静かな二人を包み込んだ。 



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