オフサイド
先に沈黙を破ったのは、裕也だった。
「菜摘……ごめんな」
「何が?謝ってもらうようなことあったっけ?」
「いや、菜摘にはずっと寂しい思いをさせてるだろう?普通の彼氏のようなことは、何もしてあげられてないし……」
「ううん、そんなことないよ!こうして、会いに来てくれたし、裕也は夢に向かって頑張ってるんだから、私はそれをずっと応援していたい」
「菜摘……ありがとうな」
裕也の鍛えられた腕がすっと伸び、肩をグイッと抱き寄せられた。
間近で感じる裕也の鼓動。
吐息。匂い。
ドクン…ドクン…ドクン……
裕也に聞こえてしまうのではないかと思うほどに、激しく胸が高鳴った。
私の小さな胸は、裕也への溢れる想いでいっぱいだった――。