オフサイド



ドクン…ドクン…ドクン…… 


煩いほどに心臓が音を立て、息をするのもやっとだった。 



――『本当は唇にしたかったけど、それはまた今度な』


新幹線で洩らした言葉が頭を掠め、このあとの展開に期待と緊張が高まる。


唾を呑み込むのさえ躊躇い、汗が噴き出るようだった。


時間にして、およそ数分。


「菜摘……」



そう言うなり、ギュッと力強く抱き締められた。 





< 176 / 362 >

この作品をシェア

pagetop