オフサイド
Tシャツ越しに感じる、裕也の大きな胸板と波打つ心臓の音に、どうにかなってしまいそうだった。
覚悟はできていた。
ファーストキスは、裕也と……と考えていたから。
裕也の肩越しから見える大海原。
水面がキラキラ輝きながら宝石をちりばめているようだった。
誰も邪魔するものはいない――。
二人だけの世界。
こんな素敵な場所で、
こんなシチュエーションで迎えるファーストキス。
ロマンチックで一生忘れられない思い出になりそう――…。