オフサイド


「ごめん……。お正月は帰れなくなった」


「えっ、なんで?だって、帰ってくるって、この前……」


言い終わらないうちに、裕也はゆっくりと首を横に振った。


「お正月は選手権大会があるだろう?勝ち進めば、ずっと旅館待機になるんだ。いくら実家が近いといっても、1年の俺だけが特別に外出を許されるはずもないし……。だから今回、監督さんが1日だけ休みをくれたんだ」 


「………」


「菜摘の顔を見ていたら、なかなか言いだせなかった。ごめんな」


「………」


ついさっきまでの幸せな時間は、音を立て、崩れ落ちていくようだった。 




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