オフサイド
あれほど何を話したらいいんだろう、と思い悩んでいたはずなのに。
裕也の顔を見たら自然と話ができていた。
「あっ……」
「どうした?」
「……切符がない」
「切符?」
コクンと頷いた私は、顔面蒼白になりかけていた。
入場券しか持たなかったのに、勢いで新幹線に乗り込んでしまったのだから。
不正乗車になってしまう。
おまけに、大したお金も持ち合わせていない。
その上、親には『ちょっと出掛けてくる』と言ったきりだし……。
この状況をどうしたらよいものか、頭の中ではハイスピードに処理がなされた。