オフサイド


無情にも、日は暮れていく。 


黙りこくった二人を見守る夕陽も、すっかり姿を隠していた。


空がオレンジ色から灰色に変わり始めた頃、


重たい雰囲気を打ち消すかのように、裕也はおどけて言った。 


「大丈夫だって!またすぐに会えるから」


「すぐにって……」


柔らかい笑顔を見せた裕也は、私を安心させるように明るく話す。


「俺たち8ヶ月も会わなかったけど、久しぶりに会って違和感なかっただろう?」

コクンと頷いた。


何か言葉を発したら、今にも涙が零れ落ちそうだった。


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