オフサイド
「じゃあ、そろそろ帰るか!」
裕也に促され、ゆっくりと立ち上がると、スカートに付いた砂を手で振り払った。
隣では、ストレッチをしながらじっと海を見つめる裕也がいた。
なぜだろう。
そんな裕也の姿が切なくて、胸が締め付けられるようだった。
裕也は今、何を考えてるんだろう。
そんな裕也に言葉を掛けられなかった私は、隣に並んだまま海を見つめた。
この日の光景を忘れないよう、しっかりと瞳に焼き付けた。
「ほら、行くぞ!」
「うん」
来た道を帰ることになり、行きに登ったあのコンクリートの塊を滑り降りることとなった。