オフサイド
「どうする?菜摘が先に行く?」
手前まで来て、その高さに改めて躊躇するも、裕也がそばにいるから大丈夫のような気がした。
「裕也、先に行って!」
「わかった」
2メートル以上ある高さからひょいっと、軽々と飛び降りた裕也。
……すごい。
「菜摘の番だよ!」
下から呼ぶその声に、小さく頷くと、後ろ向きで足を滑らせながら裕也の待つ場所を目指した。
ゆっくりと……
ゆっくりと……
コンクリートの窪みに足を掛け、手を添えながら。