オフサイド
初めての二人乗りは、胸がドキドキして、落ち着かなかった。 


スカートだから横向きで乗るしかなくて……。 


「俺に捕まって!」


そう話す、裕也の腰の辺りに遠慮がちに軽く手を添えた。


「危ないからしっかり捕まって」


「う、うん」


躊躇いながら、さっきよりも幾分、お腹の辺りにまで手を回し、裕也の背中を肌で感じた。 


「ちゃんと捕まって!」


Tシャツ越しでもはっきりと分かる、無駄のない鍛えられた身体。


目の前にある、この大きな背中をずっとこうして見ていたかった。 



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