オフサイド
ガラガラッと、勢いよく引き戸を開けた。


――そのときだった。


「うわっ!」


「お―っと!ビックリした!」


「きゃーっ!なんで?なんでここにいるの?」


「少し早いけど、来てみたんだ。教室まで行ってみたらここにいるって聞いたから。それより、可愛いな。その浴衣!」


「えっ、ホント?わーい、嬉しい!」


今にも飛び付きそうな勢いの薫は、キャーキャー黄色い声を出し、興奮していた。

そんな薫の目の前には、今まさに話題に上っていた田口くんの姿があった。


漫画のような展開に、可笑しくて一人クスッと笑っていると、視線の先には榊くんがいた。 


「あっ、」


短く声を発すると、腕を組んで壁に寄りかかっていた榊くんと目が合い、ぎこちなく頭を下げた。 



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