オフサイド
ほんの数歩先にいる榊くんに歩み寄った。


先に声を発したのは、榊くんだった。


「久しぶり!」


「うん。久しぶりだね。元気だった?」


「あぁ」


榊くんとは、あの夏のバーベキュー以来、一度も会っていない。 


真っ黒に日焼けしていた顔にも白さが戻り、いくらか輪郭がシャープになったような気がする。


この前の土曜日、薫に誘われ、ボーリングに行ったときも練習が忙しいとかで榊くんは姿を見せなかった。 


そんな彼が、いくら付き合いとはいえ、こんな場所に現れたことが不思議でならなかった。



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