オフサイド
「じゃあ、行こうか!」
控え室のある北校舎から教室のある南校舎へ。
それらを繋ぐ長い渡り廊下を、薫たちのあとに続いて榊くんと並んで歩いた。
11月とはいえ、今日はコートも必要ないほどの穏やかな陽気。
中庭に面した渡り廊下には、陽射しがたっぷりと差し込んでいた。
急いで準備したものだから、少し動くだけで汗ばんできた。
帯に挟んでいた団扇をスッと取り出し、それで扇ぎながらガラスの向こうにある中庭を眺めた。
花壇を囲むように等間隔に置かれたベンチ。
そのベンチに、何組かのカップルが腰を下ろしているのが見える。