オフサイド
そんな中、さっきから注がれる視線に違和感を感じていた。


やっぱり、こんなところでも榊くんの人気は健在で注目を浴びてしまうようだ。 


チラチラと注がれる視線。

ヒソヒソと囁かれる話し声。 


擦れ違いざまに何度も向けられる視線に、私までもが居心地の悪さを感じた。


「西高の榊くんが女の子連れてるよー!」


「マジで!?」


「誰だれ?」


遠くでそう話す、嫉妬にも似た声が、離れた私たちの耳にまで届いた。


私なんかと並んで歩いてるから迷惑だろうと思い、チラッと隣を見ると、聞こえていないのか、聞こえない振りをしているのか、榊くんはクールを装ったままだった。 



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