オフサイド


ここから二人だけの旅が始まった。 


裕也と二人きりで出掛けるなんて、これが初めてだった。


おまけに、私たちは中学生。

こんな遠くまで出掛けるなんて、京都・奈良への修学旅行の時以来だ。


あの時だって、新幹線の座席は遠く離れていたし、自由行動のグループも別々だった。


修学旅行最後の晩、夜の四条河原町を散策するときに偶々、お土産屋さんで一緒になった私たち。


お土産のたくさん入った紙袋を提げながら、ホテルまでの道のりを二人で歩いたっけ。


あのとき、周りに友達もいたはずだけど、ずっと私の隣には裕也がいた。


何を話したかあんまり覚えていないけど、楽しくてずっと笑いっぱなしだった。


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