オフサイド
「……うん、もちろんだよ。頑張ってね」
「よかった!菜摘、約束だよ。絶対、あたしたちに協力してね」
「うん」と小さく頷いた。
でも、なんとなく胸がすっきりしなかった。
私は榊くんの彼女でもないし、関係ないんだけど……。
そんなことを思いながらポットに手を添え、再びお茶を注ごうとしたときだった。
「熱っ!」
「大丈夫?うわぁー、赤くなってるよ!すぐに水で冷やした方がいいよ!」
考え事をしていたものだから、誤って熱湯が左手の親指付近にかかった。
みるみるうちに真っ赤に腫れて膨れ上がり、じんじんと痛みが襲ってきた。
口元に手を持っていき、フーフー風をあててみたけど、痛みが弱まるどころか、どんどん増してくる。
「ごめん……。ちょっと冷やしてくるね。悪いけど、あとお願い!」
暖簾をくぐり、廊下の隅にある手洗い場まで走った。