オフサイド
蛇口を思い切りひねり、ザァーっと勢いよく流れ出る水の中に、赤く膨れ上がった親指を入れた。


じんじんと痛みが襲ってくる。


熱湯を被った箇所が、水ぶくれのようになっている。 

何やってるんだろう、私。

ほんと、ドジだよな。 


確かに、榊くんの彼女ではないけど、他人からそんなふうに思われていたなんて……ショックだよ。


おまけに、あんなところで慌てたりして……


動揺しているみたいで、ますますみんなに怪しまれるよね。


あー。このあとどうしよう……。


自己嫌悪に陥ってるときだった。


「――大丈夫?」



< 214 / 362 >

この作品をシェア

pagetop