オフサイド
声のする方を振り向くと、今、一番会いたくない人がいた。 


「……大丈夫です」


そう短く答えると、再び水道の蛇口に視線を戻し、流れる水を目で追った。 


どうして、こんなところに来たんだろう。


誰かにでも見られたら、また変な噂を立てられるじゃない! 


胸の中がモヤモヤして、苛立ちを隠せない。


早くどこかに行ってほしい……。


「俺が来て、迷惑だったみたいだね」 


「――…ッ」




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