オフサイド
私は何も言えず、黙ったままだった。
「菜摘ちゃんは、他の女の子みたいにチャラチャラしていないし、芯が一本、真っ直ぐに通ってる感じだよな。見ていて気持ちいいよ!」
「………」
「いいところがたくさんあるんだから噂なんか気にせずに、自分をもっと大切にした方がいいよ!」
「………」
「それに、」
口を閉ざし、一瞬、考えるような仕草をした榊くん。
何を言おうとしたのだろう?
話の続きが、無性に気になる。
その様子に、胸がドキドキした。