オフサイド


直人から別れを告げられたちょうど1年前――


もちろん悲しいという感情も沸き起こったけど、意外と冷静にその現実を受けとめられた。 


直人の彼女でいることに正直、疲れていたのも事実。


学年で三本の指に入るくらいモテる直人が、私みたいな平凡な女の子と付き合うなんて、周りはもちろん、自分でも驚いたくらい。


顔も頭も普通。


何の取り柄もない私が、直人の彼女になったこと自体が奇跡に近かったから。


自分でも、なんで私なんだろう?って、ずっと不思議だった。 


本人に訊ねる勇気はなかったけど。


女子の先輩からも人気があった直人だから付き合っている噂が流れてからは、自転車置き場や移動教室で先輩たちの鋭い視線に身を縮めたことが何度もある。 


だから、学校ではあまり目立たないように振る舞っていたつもり。 



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