オフサイド
―――――――――――
―――――――――
――――――



「こんなところでごめん。我慢できなかった」 



「…………」



熱を帯びたように熱い頬っぺた。


ほんの数分前の出来事が思い出され、今頃になって、ドキドキが襲ってきた。



いつかは……と思っていたファーストキスが、まさか今日だなんて! 


おまけに、夜の病院でなんて、一生忘れられない思い出になりそう。 



「菜摘……」


囁かれた耳元が、やけに熱い。 再び、裕也の胸元に顔を預け、暫し、時を過ごした。


――と、コツコツ…というフロアを歩く足音に驚き、慌てて身体を離した。



その拍子に裕也と目が合い、恥ずかしさで顔から火が出そうだった。 



名残惜しいけれど、今度こそ、本当に帰らなきゃ! 



< 244 / 362 >

この作品をシェア

pagetop