オフサイド
「じゃ、また来るね!」 


「あぁ。気を付けて帰れよ!家に着いたら必ず連絡くれよ」



「うん、分かった。おやすみ!」



自動ドアを擦り抜け、外来患者用のスロープをゆっくりと歩き始めた。 



途中、何度も後ろを振り返りながら。



自動ドアの前では、姿が見えなくなるまで、車椅子に乗った裕也がずっと見送っていた。













まさか…… 


こんな幸せな時間が、ガラガラと音を立て崩れていくなんて、このときは微塵も思わなかった――…。 




< 245 / 362 >

この作品をシェア

pagetop