オフサイド
帰宅時間が重なる私が、榊くんとの接触を図る上で一番最適な人物だった。 



奈緒もそれを分かった上で、私を信用したはずだった。 


『誰とも付き合う気はないから』


榊くんの答えは、あまりにもあっけなかった。



奈緒にそのことを伝えなきゃならない……でも、いい話ならともかく、これでは奈緒を傷つけてしまう。



何日か考えた末、やんわりと榊くんの気持ちを伝えた。


一方的に振られた奈緒は、それで黙ってはいなかった。 


美人で人気のある奈緒のことだから、男の子には困らなかったはず。 


それなのに、簡単に振り向かない榊くんには異様に固執し、なかなか諦めきれずにいた。



そして、振られた怒りの矛先が私に向けられた。 



「榊くんって、本当は菜摘のことが好きなんじゃないの?もしかして、付き合ってるんじゃないよね?」 


「まさか、そんなこと……」 




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