オフサイド
榊くんとのことを誤解した奈緒は、取り巻きとともに、あからさまに嫌がらせをしてきた。



『遠距離の彼氏がいるのに、純情ぶって二股している軽い女』


『誰にでもいい顔して、すぐにヤラせる女』


これが私に付けられたレッテル。 


何を言っても信じてもらえなくて、針のむしろのような毎日。 


自分も巻き込まれるのを恐れて、徐々に私と距離を置くようになった友達。


正直、学校に行くのが辛かった。


それでも、裕也のいる病院にいるときだけは、嫌なことから全て解放されて幸せだった。


でも……裕也には、こんなこと話せなかった。 


話せば、裕也のことだから心配するだろうし、リハビリに専念しているのに迷惑を掛けてしまう。


何より、私たち二人の間に罅が入るような気がして。 


病院での二人だけの時間を大切にしよう――そう心に誓った。 


おかげで、今まで離れていた分、裕也と過ごす日々は愛おしく、かけがえのない時間となった。




< 248 / 362 >

この作品をシェア

pagetop