オフサイド
「今日、見送りに来てくれたお礼だから」
「お礼って…。私が勝手に来ただけだもん、悪いよ」
「嬉しかったんだよ、来てくれて!それに、ばあちゃんやおじさんたちからいっぱい小遣い貰ったから俺、金持ちだし!気にするな!」
そう言って、裕也は笑った。
「うん…ありがとう」
コクンと頷いた裕也は、そっと私の左手に自分の右手を絡ませ微笑んだ。
ドクン…ドクン……
今まで手を繋いだことなんてなかったから、すごくドキドキした。
裕也に気付かれてしまうんじゃないかと思うくらい、胸の鼓動が高鳴った。
今日は裕也の言う通り、裕也に甘えることにしよう。
この次は、私がご馳走しよう。
次に二人で会ったときに……。