オフサイド
待ち合わせ場所である、駅中央口の改札の前に到着すると、まだ誰も来ていなかった。 



JRから地下鉄や私鉄の乗り換えに向かう人たちが、私の前を足早に通り過ぎる。


溢れかえる人の波に目を遣りながら、3人の来るのを今か今かと待ち侘びた。 


――と、突然、肩を叩かれ、驚いて振り向くと、


「あっ……」

「よっ!」



いつもと変わらないクールな表情の中に、優しい瞳をした榊くんが立っていた。




< 289 / 362 >

この作品をシェア

pagetop