オフサイド


でも、その願いも虚しく、車両はだんだんと名古屋に近付いていった。


もうすぐ別れの時間。


次第に、二人とも口数が少なくなる。


新幹線が徐行運転を始めたときだった。


「次に会えるのは、来年の正月だと思う」


「……来年の正月?
夏休みは帰って来れないの?」


「うん。多分、遠征(試合)に行くことになるから無理だと思う」


「そっか……」


たちまち私の心は沈んでいった。


裕也は夢を叶えるために、たった一人で地元を離れた。

分かってる。


分かってはいるんだけど……。



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