オフサイド
ドキドキしながら電車に乗り込んだが、あっという間に最寄り駅に到着した。



目の前には、水族館の目印であるガラスのドームが、東京湾に浮かんでいるように建っている。 


その後方には、大観覧車が見える。  


広大な敷地に、芝生広場やバーベキュー広場、人工なぎさ(砂浜)などが広がる臨海公園。


その一画に、水族館はあった。


窓口で入場券を買おうと、財布を取り出したが、先に榊くんが二人分を購入した。 


「はい、これ」と、入場券を渡され、それと引き換えにお金を支払おうとしたが、受け取ってくれない。 


「えっ、悪いよ。」



「いいからいいから。今日は特別。それより、早く行こう!」



……あれ?こんなこと、前にもあったな。


……そうだ!裕也の見送りで新幹線に乗ったときだ。


こんなところでも裕也のことを思い出してしまうんだね、私。 




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