オフサイド
「さっ、入ろう!」



コクンと頷き、榊くんに続いて、館内へと足を踏み入れた。 


中は、ヒヤっとするほどに冷やされており、外との気温差に身震いした。  



「見たいところとかある?」


くるりと向きを変えた榊くんが尋ねた。


「うーん、特にはないかな。」 


「じゃ、この案内通り、メインのマグロを見に行こうか?ビックリするくらいの迫力だから!」 



「へぇー、そんなにすごいの?」


「見てからのお楽しみ!」


なんだか普段とは違う、楽しそうな榊くんを見ていたらさっきまでの緊張が解れ、私の顔にも笑顔が戻った。




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