オフサイド
館内は、大勢のカップルや親子連れで賑わっていた。 


ちょっと目を離したら、迷子にでもなりそう。


でも、大丈夫!


背が高い榊くんは、みんなより頭ひとつ分抜き出ているから彼を見つけるのは容易いはず!


少しだけ前を行く榊くんの背中を見ながら、そんなことを思った。



それにしても……
腕を組んだり、手を繋いでいるカップルばかり。



――まぁ、当然か。
だいたい、こんな場所は、デートで来るところだもんね。


でも、さっきから目の前でイチャイチャしているカップルだけは、いい加減にして欲しい。


身体を寄せすぎ!
目のやり場に困ってしまう。


こんな公衆の面前でベタベタしなくたっていいのに……! 


ふうーっと、溜め息を漏らすと、何やら視線を感じる。 



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