オフサイド


大きく沈む気持ちを打ち消すかのように、裕也は握り締めた手に力を込めた。


「手紙も書くし、電話もするよ」


堪えきれなくなった私は、ダウンジャケットに顔を埋め、涙を滲ませた。


さらに強まった裕也の手を、同じように握り返し、大きく頷いた。


『まもなく名古屋、名古屋です。お忘れ物のないようお手回り品をお確かめの上、ご降車頂きますよう……』


車掌のアナウンスで、時刻通りに列車が名古屋へ到着したことを知らされた。


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